膝の上でまどろむナオミの後姿を見ていたら、ふいに
「ナオミは猫じゃないのではないか」という気がした。
そう考えだすと、ナオミが猫であることそのものがとても不思議に思えてくる。
その無垢な魂が私の魂に寄り添うほど、ナオミは私のそばにいる。
こんなにも、こんなにも近くにいる。それなのに…
どうしてこの子は、ミルクティ色の毛並みの丸いあたまをしているんだろう?
こげ茶色した三角の耳をぴょんとかわいらしく立てているんだろう?
小さな前足に素敵な手袋をはめているんだろう?
そのひとつひとつを指でそっとなぞってみる。
きっとナオミは猫の姿を借りているだけなのだ。
私が人の姿を借りているように。
ナオミの魂が私の魂と寄り添いながら、夜のしじまを浮遊するとき、
私は、ナオミがナオミでであることの不思議さをくりかえし甘受する。
ナオミへの愛しさをこめて。